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過敏性腸症候群(IBS)の症状チェックと症状緩和に役立つ4つのポイント

2024年5月2日

「頻繁に下痢や便秘をする」「ストレスが溜まるとお腹の症状が悪化する」
これらの症状が続く場合、過敏性腸症候群(IBS)の疑いがあります。

過敏性腸症候群は身近な消化管疾患のひとつであり、命にかかわることはありません。しかし、日々の生活の質(QOL)に影響を及ぼす可能性があるため、適切な治療を受ける必要があります。

そこで今回は、過敏性腸症候群の原因や症状、症状緩和のための日常生活のポイントなどについて解説します。

過敏性腸症候群(IBS)とは?

過敏性腸症候群(IBS)とは、大腸に腫瘍や炎症などの病気がないにもかかわらず、下痢や便秘を繰り返すときに考えられる代表的な病気です。

国内における有病率は約10%で、女性に多い傾向があります。症状を訴える方は20~40代の方に多く、加齢とともに減少します。

過敏性腸症候群で考えられる原因

過敏性腸症候群の原因は、明確になっていません。しかし、細菌やウイルスによる感染性腸炎からの回復後にかかりやすくなることが知られています。これは感染性腸炎で腸粘膜が弱まったり、腸内細菌の様子が変わったりすると、腸の変化を感じとる知覚機能が敏感になるためと考えられています。

また、ストレスが過敏性腸症候群の原因になるとも考えられています。ストレスが溜まる状態が続くと大腸の収縮運動が激しくなり、知覚過敏状態になって痛みを感じやすくなるためです。そのため、過敏性腸症候群の方は健康な人が腹痛を感じない刺激でもお腹に痛みを感じることがあります。

過敏性腸症候群の診断基準(ローマⅣ基準)

過敏性腸症候群の国際的な診断基準として、下記のローマⅣ基準が用いられています。過敏性腸症候群について知る目安として、ご参考になれば幸いです。

【過敏性腸症候群の診断基準】
最近3か月の間に、週に1日以上にわたって腹痛が繰り返し起こり、その痛みが下記の2項目以上の特徴を示す。
1)排便に関連する
2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(軟らかくなったり硬くなったりする)

過敏性腸症候群(IBS)の症状をチェック

過敏性腸症候群の主な症状は、排便により改善する腹痛と便通異常(下痢・便秘)です。下記の症状がないかをチェックしてみましょう。

・頻繁に下痢をする
・便秘が続いている
・コロコロとした硬い便がよく出る
・下痢と便秘を数日おきに繰り返す
・腹痛やお腹の不快感がある
・すぐにトイレに行けない状況(通勤中、会議中など)で症状が悪化する
・ストレスや緊張状態によって症状が悪化する
・朝は症状があるが、夕方以降は症状がない(もしくは軽い)
・睡眠中や休日には腹痛や便通異常がみられない

過敏性腸症候群(IBS)4つのタイプ

過敏性腸症候群は、症状によって4つのタイプに分けられます。

【便秘型】
ストレスを感じると便秘がひどくなるのが特徴です。ほかにも腹痛、腹部膨満感、水分のないコロコロとした便などの症状がみられます。女性に多いとされています。

【下痢型】
腹痛や下痢、急な便意が特徴です。ストレスを感じる、または緊張がある状況では、これらの症状があらわれやすくなります。下痢型は男性に多いとされています。

【混合型】
便通の変動が特徴で、下痢と便秘を繰り返します。ストレスがかかる状況で、お腹の状態が不安定になりやすいです。

【分類不能型】
上記3つのいずれにも分類されないタイプです。おならが頻繁に出る、腹部膨満感がある場合は「ガス型」と呼ばれます。

過敏性腸症候群(IBS)の症状緩和:日常生活のポイント

過敏性腸症候群の症状緩和は、食事をはじめとした生活習慣の見直しが基本です。生活習慣を改善しても症状がよくならない場合は、お薬を使った治療が行われます。

ここでは、日常生活における過敏性腸症候群の症状緩和に役立つ4つのポイントを解説します。

症状緩和【1】3食を決まった時間に食べる

暴飲暴食をしないよう適度な食事量を心がけながら、1日3食を規則正しく摂りましょう。また夜遅くの食事は避け、やむを得ず夜間に食事をとる場合は消化の良いものを選びます。

十分な水分補給を心がけることも大切です。ただし、緑茶や紅茶などのカフェインを含む飲み物は大腸を刺激して症状を悪化させることがあるので、カフェインを含む飲み物は避けるようにしましょう。

症状緩和【2】症状を誘発させる食べ物を控える

脂っこい食べ物や刺激物、アルコールなどは、過敏性腸症候群の症状を誘発するといわれています。刺激物には胡椒、香辛料を使ったカレーなどの料理、生姜などが当てはまります。

このほか、FODMAP(短鎖炭水化物)を含む食事を控えると、過敏性腸症候群の症状が抑えられるといわれています。FODMAPは、大腸で迅速に発酵・分解されてガスなどを発生しやすいためです。小麦、たまねぎ、リンゴ、トウモロコシ、牛乳、ヨーグルト、はちみつなどがFODMAPに当てはまります。

症状緩和【3】適度な運動を心がける

適度な運動を続けることは、過敏性腸症候群の症状緩和に有効とされています。具体的にはウォーキング、ヨガ、エアロビクスがおすすめです。運動不足ぎみの方は、続けられそうな運動を始めてみましょう。

症状緩和【4】睡眠を十分にとり規則正しい生活を送る

過敏性腸症候群と睡眠障害には、関連性があるとされています。睡眠を十分にとり、食事や排便を含め、規則正しい日常生活を心がけましょう。排便習慣をつける方法のひとつとして、必ず毎朝トイレに行くことが推奨されています。

睡眠や休養を十分にとることは、ストレスの軽減にもつながるでしょう。

過敏性腸症候群は何科に行けばいい?検査は必要?

過敏性腸症候群の疑いがあるときは、消化器内科を受診しましょう。診断には、大腸の病気(大腸がん、潰瘍性大腸炎など)の有無の確認が必要です。

そのため、過敏性腸症候群の診断基準に当てはまり、下記にも該当する場合は、下部消化管内視鏡(大腸カメラ)などの大腸検査を行うことがあります。

・血便や発熱、予期しない体重減少などがある
・50歳以上である
・過去に大腸の病気にかかったことがある
・家族が大腸の病気にかかったことがある……など

このほか、血液検査や便潜血検査、腹部超音波検査、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)などが必要に応じて実施されます。

過敏性腸症候群にお悩みの方は当院へ

過敏性腸症候群は命に関わる病気ではありませんが、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。便秘や下痢を繰り返す、おならが頻繁に出るなどお腹のトラブルが続いているときは消化器内科を受診しましょう。

腹痛や腹痛と便通異常にともない発熱や血便、吐き気や嘔吐がある場合も、医療機関を受診しましょう。

横内中央医院は、地域のかかりつけ医として消化器内科の診療にも幅広く対応しております。「過敏性腸症候群かもしれない」と思ったら、まずは当院までご相談ください。